リネンという素材は、どこで育ったフラックスから作られるかによって、まったく別の布になります。同じ「リネン」という名前でも、ベルギー産、中国産、ノルマンディー産では、触れたときの感触も、洗ったあとの変化も、経年での育ち方も異なります。Eternal Ivory Brookが2019年の創業以来、ノルマンディー産にこだわり続けているのには、理由があります。

ノルマンディーの気候とフラックス栽培

フランス北西部のノルマンディー地方は、年間を通じて霧が多く、夏でも気温が大きく上がらない。この穏やかな気候が、フラックスの生育に適しています。繊維が急激に成長せず、ゆっくりと細く伸びることで、糸にしたときの均一さと強度が生まれます。カン近郊の農家では、収穫後に畑に広げて露にさらす「ルーティング」という工程を今も手作業で行っており、これが繊維の柔らかさに直結しています。

ウォッシュド加工と経年変化

当店のリネンアイテムはすべて、ベルギーの製糸所で三回の水洗い処理を経ています。この工程を「ウォッシュド加工」と呼び、新品の状態でも硬さがなく、すぐに着られる柔らかさになります。ただし、本当の意味での柔らかさは、着て洗うことを繰り返す中で出てきます。二年目、三年目と、体の動きに沿って繊維が馴染み、最初とは別の服のような感触になる。それがリネンを選ぶ理由の一つです。

他産地との違いを知る

中国産リネンは生産量が多く、価格が抑えられますが、繊維が太めで、洗いを重ねると毛羽立ちが出やすい傾向があります。ベルギー産は品質が安定していますが、近年は農家の高齢化で生産量が減っています。ノルマンディー産は量が限られているぶん、農家との直接取引が可能で、その年の収穫状況を把握したうえで仕入れ量を決められます。素材の来歴を知ることが、服を長く着ることの出発点だと考えています。

リネンの正しいお手入れ

リネンは水洗いができます。ただし、乾燥機は繊維を傷めるため推奨しません。洗濯ネットに入れ、30度以下の水で手洗いか、洗濯機のデリケートコースで。脱水は短めにして、形を整えて陰干し。アイロンをかける場合は、少し湿った状態で中温が適しています。シワは気にしなくていい。リネンのシワは、着ている証拠です。

素材を知ることは、服との付き合い方を変えます。今季のコレクションでご使用しているリネンについて、ご質問があればご来店の際にお気軽にどうぞ。実物を手に取りながらお話しできます。